シーソーが揺れてる

「うん。私もよく分からないんだけど、メイド居酒屋って言うのは・・・」
「だめだだめだ水商売は。危ないぞ」
母にメイド居酒屋を説明しようとする春香を父が制止した。だよねえ、春香は心の中で落胆した。
「そうねえ、もっと分かり易い物のほうがいいわね。あーそういえば直人くんの家ってお店やってなかったっけ?」
「うん車屋さんねえ」
「そこはバイトさせてくれないの?」
「うーんどうなんだろう?」
春香の頭に少し前の直人とのやり取りを思い出された。
「家においでよ」
「えっ泊めてくれるの?」
「まあ泊めてやってもいいけど、今おれが言ったのはバイトしないのかって話」
それに続いてさきほど直人から聞いた良太の話が浮かんだ。
「店長はおれがやるとして、その右腕の役割を良太にさせようと思ってたんだけど・・・どうやらあいつはおれたちが思っているようなところは目指していないらしくて・・・あいつ相当落ち込んでるみたいなんだよ」
もし良太が店を辞めてしまったら、もし自分が直人の店でバイトさせてもらえるとしたら、春香は不安になった。
私に良太の代わりはできない!直人の右腕なんかにはなれない!胸が詰まりそうになる。