和華菜はディスプレイを見て顔を強張らせ、震える指でボタンを押した。

「……一人で家に居てもつまらないから……散歩をしてたの。……今から帰るわ」

和華菜は電話を切ると、素早く席を立った。

「彼の会議が予定より早く終わったみたいで……。そしたら私も食事に連れて行く事になって、それで迎えに……」

和華菜は溜め息をついた。

「竜治の事、信じてるから。必ず、助けに来てね」

和華菜はテーブルの上に置かれていた俺の手を強く、強く握りしめた。

「あぁ、必ず」

和華菜の助けを求める思いが体温と共に伝わり、俺はその思いに応える為に強く握り返した。

このまま腕を引っ張って、震える体を抱きしめてやりたかった。

だが、電話を寄越した寿が散歩に疑問を持ち、椅子の力で監視しているかもしれない。