注文したサンドイッチのモーニングメニューを食べながら『小鳥の巣』という喫茶店で、和華菜が来るのを待つ。

『小鳥の巣』では、お昼を過ぎてもモーニングメニューを扱っている。

昔はよく和華菜と朝の散歩帰りに、少し遅い朝食を食べるために立ち寄っていた。

「懐かしいな……」

セットのコーヒーを飲む。

和華菜が消えてから今まで、思い出が蘇ってしまいそうで、ずっと来れずにいた。

和華菜が『小鳥の巣』を待ち合わせ場所に指定しなければ一生来ることは無かっただろう。

カランカラン……

店の扉が開いた音が静かな店内に響き渡る。

また一人、客が増えたことを知らせる。

会計の音が聞こえ一人、二人と客が減る。

何度かそれを繰り返した頃、和華菜が店に現れた。

「遅くなってごめんなさい」

和華菜は俺を見付けると、申し訳なさそうに小走りで寄って来た。