「もう遅い!幸運とさよならするのね」

エレナの低くなった声に、反射的に背筋が伸び数歩後ろに下がった。

……だったらッ!!

幸運が無くなる前に、もう一度Tバックを見てやる!!

そう決意した俺は鏡の様にピカピカな床に視線を移したが、顔面の痛みと共に視界が真っ暗になった。

「ア゛ッ!!」

エレナの靴が顔面にクリーンヒットしたのだと気付くのに時間は掛からなかった。

ピンヒールを歯で挟んで受け止められたのは不幸中の幸いだ。

「自業自得よ、変態バカ竜治」

こうして俺の幸運は最後、俺の命を守って尽きたのだった。