「なにが、とにかくよ…」

俺は冷ややかな目から解放され、エレナはマリア像に手を合わせる老人を見つめた。

「この辺じゃアレが当たり前なのかしら」

「俺達には縁のない行動だな」

背中の丸くなった老人が膝を突いてマリア像に頭を下げる。

「あぁマリア様、どうか我々をお助け下さい」

老人は懸命にマリア像の前で祈り続けている。

「さぁ祈り続けなさい。その強い思いはきっとマリア様に届きます」

前に会ったシスターの声が聞こえた。

だが姿が見えない。

「あぁ、マリア様が来て下さいました」

再びシスターの声が聞こえ、俺とエレナは声の主を探した。

「えっ!?」

「はっ!?」

俺とエレナが目を丸くしたのは同時だった。