エレナは他にも何か言いたげだったが、俺が怒っていると勘違いしたのか、それ以上何も言わなかった。

和華菜は小さく抵抗しているが、寿が判断を揺るがす様に深いキスへと変えてゆく。

俺を睨んでいた寿の目は紫色に光り、瞼を閉じた。

「っ…和華菜!!」

寿の胸を押して抵抗していた和華菜の手は再び寿の背中に回された。

「そんな…。和華菜っ!!!」

何度も何度も叫んだ。

目を覚ましてくれと願いながら、和華菜の名を叫び続けた。

でも和華菜はもう反応してくれなかった。

俺の声は聞こえていないかの様に、寿とキスを繰り返していた。