「和華菜っ!目を覚ませっ!!和華菜ッ!!」

俺が必死で名前を叫び続けると、和華菜に少しだけ変化が表れた。

寿の背中に回された腕が、何かに逆らう様にピクピクと動きゆっくりと離れ始めた。

キスを拒む様に寿の胸に両手を添える。

寿は逃げられない様に後頭部を押え込み、キスの最中に瞼を上げ俺を睨む。

でも、そんな事で怯まない俺は叫び続けた。

「和華菜っ!和華菜!!」

俺は二人を引き剥がす為に動かない足に力を入れた。

足を前に出そうとしても、ガクガクと膝が揺れるだけだった。

「無理よっ!邪の椅子の力で動けなくなってるのよ!?それを自力で回避するなんて」

エレナは足を動かそうと必死な俺を見る。

「そんな、こと…やってみなきゃっ…分かん、ないっだろッ!!」

怒鳴るつもりは無くても、足に体内のエネルギーを注ぎ込みながらだと、言葉にも力が入ってしまう。