「ってか運の椅子が見つからなかったら次の椅子の気を感じられないんじゃないか?」

……………。

「そうよっ!!見つけられなかったら次の椅子を探せないっ」

ガバっと効果音が付きそうな勢いで顔を上げ、頭を抱えるエレナ。

「とりあえず意識集中させて気を探せ。もしかしたら運の気を感じられるかも…」

「そ、そうね」

エレナはイスに座り直し、細い指でこめかみをツンツンさせながら意識を集中させる。

目を瞑り全身で気を探す。

俺は邪魔をしないように、静かにその様子を窺う。

以前エレナは椅子には見つかる順番があると仮説していた。

もしその仮説が本当なら、運の椅子を見つけないと次の椅子どころかエレナの目的である永遠の命は手に入れられない。

「見えたっ!!」

エレナが突然立ち上がる。

イスが床と擦れる音が静かで広い食堂に響いた。