性行為を終え、エレナの持って来たゴムの箱が空に成る程二人重なった大きなベッドの上で、エレナに腕枕をしながら上がった息を整えていた。

汗で頬に付いているエレナの前髪を、腕枕をしていない左手で取ってやる。

くすぐったかったのか、エレナは柔らかい笑みを浮かべて首をすくめた。

「ねぇ…私と一緒に椅子を集めない?」

しばらく二人で恋人の様に寄り添っていると、突然エレナが口を開いた。

「椅子?」

なんのことか理解できず、オウム返しをしてしまった。

「竜治の家に“金の椅子”があるでしょ?小学校の図工で作るような…」

その言葉に今朝地下室で見つけた単調な作りをした椅子を思い出した。

エレナは今朝から俺と一緒に居たかの様に言葉を続ける。

「竜治はその椅子に座ったでしょ?そしたら金運が上がったでしょ?」

俺の胸に手を添えて見上げるエレナは、どや顔をしている訳でもなく、いたって普通の顔をしている。

「エレナは何でそんなに俺の事知ってんの?」

椅子についても、金運が上がった事もエレナには一言も言った覚えは無い。

俺の腕枕に頭を乗せて寄り添っているエレナは俺のストーカーか?

それとも情報屋?…超能力者か?

俺が思ったことも手に取る様に解っていた。