「いってッ!!もっと優しく……」

激痛の走るひじを動かす。

「ちょっと、動かないでよ!!」

エレナが消毒液の染み込んだティッシュを持ちながら、俺のひじを追いかける。

「痛いんだから!!つーか消毒液の量が多いんだって!!」

「子供みたいなこと言わないの!!」

エレナは俺の腕を捕まえ、再び消毒液をたっぷり染み込ませたティッシュをひじに押し付けた。

「いってぇぇえええ!!!」

消毒液が傷口に流れ込み泣きたくなるくらいの激痛に、俺の腕を掴むエレナの手を振り払って傷口に息を吹き掛ける。

「擦り傷くらいで大袈裟よ」

エレナは箱から新しいティッシュを抜き取って、消毒液を染み込ませた。

「ひじより痛いから、おとなしくしててね?」

「そんなッ!?」

魔の手から逃げるよりも速くエレナの手が傷口を捕らえた。

「クッ!!っぁああ!!いてーよッ!!」