「じゃぁ和華菜を開放しろ」

俺は未だに迷っていた。

殺の椅子の力は出来る事なら使いたくない。

可能性が1%に満たなくても、言葉で解決出来るのならそうしたかった。

寿は俺の要求に鼻で笑った。

「開放しろだァ?笑わせるな。和華菜は自分の意志で俺と共に居るんだ。俺は彼女を縛ってなんかいない」

目を細め、口元にうっすら笑みを浮かべながら寿は答えた。

俺は溜め息をつき、やっぱり言葉では解決出来ないのだと悟った。

「なら……お前を殺す」

「殺す?……フ、フフ……フハハハハハハ」

寿は笑いながらイスから立ち上がり、デスクの前まで歩くと立ち止まり俺を見た。

「アンタに俺が殺せるのか?ナイフで首を掻き切るつもりですか?先輩」

挑発的な態度の寿に腹が立ち、両の手に力が入る。

本当なら、寿をズタズタに切り裂いて、涙を流し許しを乞う顔面にナイフを突き立て肉を抉り、血だまりとそこに浸る肉片に変えたい。

そして、血だまりに転がる肉片を踏み潰したい。

「俺はお前を椅子の力で殺す」

「椅子……?」