「AVにキスマーク付けるシーンなんて滅多に無いよ。見たことある?」

竜治は私のシャツのボタンを一つ一つ器用に片手で外しながら鼻で笑った。

「私はあーゆーの見ないわよ。小説の方がいいわ」

ボタンを全て外され、下着の上から優しく撫でられる。

「じゃぁ……今から上映会する?」

「しないわよ!」

答えが分かっていながら、そんな質問をする竜治に即答してやる。

「だよねぇ……画面の向こうに興奮するなら、目の前の俺だけに欲情して……」

麻酔のような深いキスをされ、私は何も考えられなくなった。

あぁ……全てを委ねよう。

今は目の前の竜治で頭がいっぱいだ。

今だけは……今だけは私を見てくれている。

たとえ夢の中で塗り替えられても、この瞬間は私だけを見てくれている。

もう……今はそれだけで十分だ。