オークションでどっと疲れた私達はリビングのソファーに二人並んで座って、缶ビールで乾杯をしていた。

「ぷはーっ!あぁ……生きてるって素晴らしいわぁ」

竜治は生き延びた喜びとビールの旨みを噛み締めている。

遠くを見つめ小花を振りまいている、竜治の幸せそうな横顔を見つめ、つい笑ってしまった。

「笑うなよー。俺はエレナのお陰で生きていられるんだ」

竜治はソファーの背凭れに置いていた手を私の腰に滑らせ、ギュッと抱き寄せた。

「ありがとな」

「ん……」

いきなり唇を重ねられ驚いて目を丸くしたが、私はゆっくりと目を閉じ舌を絡ませた。

お酒臭かったが私も呑んでいたので気にしなかった。

それよりも私はこの先の事が気になって仕方がない。

腰を抱かれ竜治の体温を感じていても不安になってしまう。

角度を変えて何度もキスを繰り返しても心配で落ち着かない。

「……竜治ぃ」

だって…貴方は数日後には私を捨ててしまうでしょ?