「彼です!!」

天井からのスポットライトに照らされたのは、はんにゃの面を付けた寿だった。

「はは……アハハハハハハハッ!!勝ったぞ!俺がウィナーだっ!!」

高笑いする寿を見て、俺は脱力した。

「そんな……。な、何かの間違いよ……」

エレナの力無い声が隣から聞こえる。

「いや、間違いなんかじゃない……」

自分の手元にあるノートパソコンの画面を見つめる。

真っ暗になっていた画面には最高金額だけが表示されていた。

「あぁ競っていた貴方、残念でしたね。ほんの一瞬入力が遅かった。いったい、どれほどの大金を打ち込んでいただけたのでしょう……。楽しみにしていたので残念です」

老爺は残念と言っていながらも、口調はとても楽しそうだ。

「俺達は寿の会社拡大の熱意に負けちまったのか……?」

ハハ……と乾いた笑いしか出てこない。

「どんだけ汚いやり方で会社を大きくすれば気が済むわけ?」

苛立ったエレナは緑色に輝く瞳で、汚れた寿の心の内を覗く。

「ちょっ……彼は貴方を殺す気よ!!」

青ざめたエレナは俺の腕を掴んだ。