「さぁ……今宵、この地に舞い戻った“呪われた椅子”を手にするのは誰なのでしょう……」

ウィーンと機械の作動する小さな音と共に、床からノートパソコンがソファーの右肘掛けと同じ高さまで浮き上がってきた。

「金使われてんなぁ」

システムに感心する。

「今宵も呪われた椅子の一点のみとなるシングルオークション。より高額を入力されたビッターがウィナーとなります」

ビッターが俺達を含むソファーに座る入札者で、ウィナーは落札者。

これは最高金額で落札するパワーオークション。

「手元にあるPCで金額を入力していただきます。画面左上が現在の最高金額。左下が制限時間。右側がビッターの入札画面となります」

ノートパソコンの画面に映し出されている数字は“0”となっている。

「制限時間は5分、入札開始価格は10万、入札単位は10万円とさせていただきます」

画面の最高金額が“0010”となり、制限時間が“05:00”に変化した。

「入力間違いにはご注意下さい。……それではオークション、スタートです!!」

開始合図と共に画面左上の最高金額が上昇してゆく。