吸い寄せられる様に二人同じ歩幅で二枚扉へ向かう。

「行くぞ?」

取っ手を握り、頷くエレナを見てから重い扉を押し開く。

ギギギギギギギ……

半分程開け、その隙間から中へ踏み込む。

「何……ここ」

「すげー……」

二枚扉の向こうには俺達と同じ様に仮面で顔を隠した人たちが席に着いていた。

音楽ホールを思わせる広い部屋。

「あれ見て」

エレナが逆三角錐の形をした会場の中心を指差した。

「あれはッ!」

中心には天井からの光で薄暗い会場に浮かび上がる“殺の椅子”だった。

「気を感じる……間違いないわ」

椅子を中心に三段に並べられた一人掛けソファーが円を描いていた。

何人もの仮面を付けた者が座っている。

その中に先程店に居た男も座っていた。