明かりが無い為、ぼんやりとしか周りが見えない。

細く薄暗い階段を下り切り、地下のひんやりとした空気が、新たな扉の前に立った俺達を包み込む。

その扉を押し開くとレンガで囲まれた小さな部屋が現れた。

電球が一つ点いているだけで、怪しさ全開の薄暗い部屋には仮面が無数にテーブルの上に並んで置いてあった。

そして更に奥へ続く扉が見える。

「お面ばっかで気持ち悪い」

確かにエレナの言う通り、小さな明かりで、仮面がぼわーっと浮かび上がる光景は不気味だ。

「色々種類があんだな」

仮面舞踏会で使いそうな目の部分だけの仮面に、顔全体を隠す白い仮面。

左右で色の違う白黒の仮面。

口元が割れている仮面。

サンバを連想させる派手な仮面。

はんにゃ、ひょっとこ、夏祭りの屋台で見かけるヒーローや魔女っ子のお面まである。