「違うわよ」

取っ手に手を伸ばす手を止めると、エレナは男用トイレの扉を開けた。

「より自然に地下へ行く為か。……にしても、もう少し扉開けるの躊躇してくれよ」

エレナの後に続き、トイレに入る。

中は個室が2つと清掃用具の入ったロッカーのみ。

「今度はどれ?」

「こっち」

エレナは迷い無く清掃用具の扉を開けた。

「おぉ……すげーな」

ひんやりと冷たい空気が頬を撫でる。

清掃用具なんて名だけで、扉を開けると地下に繋がる階段が下に伸びていた。