「地味」

「なっ!?」

今日は赤い丸印の集う場所に向かう事になっている。

遠出をするからとエレナに『ちゃんとした服装で』と言われたので、俺は細身の黒いスーツ姿でリビングに登場した。

「前に着てた、いかにも“仕事用”じゃないのは良いけど……全体的に地味よ」

“地味”という言葉が胸に突き刺さり口から魂が抜けていきそうだ。

「ネクタイの色……嫌いじゃないんだけど……ダメね」

スーツに合わせ、細いタイプの淡い赤色のネクタイを締めていた。

「白いワイシャツ……ネクタイ……髪型がダメ」

「……それ、全部じゃん」

俺は自分でコーディネートをしないと誓った。

「面接にでも行く気?」

エレナに手を引っ張られ、二階にあるウォークインクローゼットへ連れて行かれた。

エレナはガサゴソと俺の服が詰まったクローゼットをあさり始める。

「あ、これ」