あれから数日が経った。

エレナには和華菜と会った事を伝えていない。

隠しているつもりは無いが、言う程の事でも無いと思ったからだ。

「あ……また椅子が移動してる」

これで何度目だろうか……。

エレナの体調は回復し、いつでも準備は出来ているのに、椅子は一定の場所に2日以上留まる事はない。

動きが止まったかと思うと、その日の内に移動してしまう事もある。

これでは俺達と椅子がすれ違ってしまう。

だが、同じ事が繰り返されている今、そんな事も言ってられないか。

「これじゃぁ、いつまで経っても椅子が集まらないわ」

はぁ、とエレナは大きな溜め息をついて、ソファーに座る俺の隣に崩れる様に腰を下ろした。

「移動し過ぎだろ……。何か法則でもあんのか?」

早く和華菜を檻から救い出してあげたい。

寿の操り人形から解放するんだ。

和華菜は俺の助けを今も待ってる。