わたしは香織がいる
  テニスコートへ向かった。


 「千帆~!」

 「香織!」

 「どうしたの?部活は?」

 「ぬけだしてきた。」

 「え?」

 「好きな人に彼女がいた...。」


  香織は特に驚いた様子もなく、
  微笑んだ。

 「今、15分休憩だから
  話聞くよ。」

 「ありがとう。」

 「好きな人ってさ...
  和也でしょ?」

 「え?呼び捨て!?」

 「あ、ごめんね。
  いとこだから。」

 「そうなんだ...。
  あのね...。」

 「うん。」

 「先輩に、高村を信じてるって
  言われた。」

 「え?」

 「私の気持ちも知らないくせに、
  秘密言いまくって...
  そんなに暴露して大丈夫ですか
  って聞いたら、高村を...
  信じてるからって...。」