一般人になるまで

「お兄ちゃん、何時間玄関の前掃除してんのさ」

入るなり、妹にいきなり嘲笑されたが、
別にいいだろ、掃除は素晴らしいぞ
と言って適当にあしらう

部屋に入って、ケータイを手に取りメールを送る

日記帳を開きながら、彼女のことを書いていく

5月9日
今日も可愛かった
青いハンカチを今日も使っていた
お気に入りなのだろうか
今度プレゼントしてあげよう
そのあと、はにかみ笑顔でありがとうなんて言われたら何枚だって買ってあげた(以下略)


俺は彼女ことなら何でも知っている

父親から性的暴行を受けてボロボロになっていたときも、母親に産まなきゃよかったと罵らていたときも、俺が支えてあげたのだから

大丈夫、俺がついてる
心配しないで
泣かないで

そうして彼女はやっと笑うようになってくれた

今では、父親と母親の罵声も聞こえないから、きっとうまくやってるんだろう

彼女を、いや家庭すら救えた自分を誇りにすら思う
良かった、本当に良かった

そのお陰で
彼女とも付き合うことが出来た
俺の彼女です
なんて他人には照れくさくて言ったこともないけど、俺たちは愛し合ってる

ああ、なんて幸せなんだろう

今何してるかな、気になってきたメールを送ろう

返事はいつくるかな