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ミーンミーン…



蝉が五月蝿く泣きわめく 暑苦しい季節。



中学生の私は
先生に今日中に出せと言われた進路希望調査の紙を目の前に、項垂れていた。


これといってやりたいこともないし…


第一私には身寄りが居ない。


施設で面倒みてもらってる分


高校だって申し訳なくて行きたくないのに。


「香住~まだ帰らないの」

私の向かいの席に座る、クラスメイトで幼なじみの遠藤 愛弓 (エンドウ アユミ)がつまらなそうに私を眺める。


「だって…何も書くことうかばない」

「なら未定でいいじゃん。」

そう言ってニカッと笑みを浮かべる彼。

「もう…」

相変わらず単純だなぁ


私もつられて笑顔になる。

愛弓は昔から人懐っこくて
誰からも親しまれやすい。

それに加え、男らしいし
優しい。

そんなとこが
昔から大好きだった。