彼の遺影が、部屋の隅の仏壇にかけられている。


お茶を頂きながら他愛もない話をしていても、
どうしてもその強い眼差しから逃れられなくて
そこばかり見てしまう。



「…香住さん?」


固まっている私に気付き、声をかけてから
その遺影を見やる。


「…………」


「生きているみたいね、じっと香住さんを見つめているような」


「あれから…3年…か」



バサバサバサッ




鳥の羽ばたく音が聞こえる。



まだ空は明るく
私達を照らす。



私は愛弓の遺影から未だに目をそらせないまま
恐れていた扉を
そっと開いた…――――。