ヴァムピーラ




 数日後、リキが絶対に来いと言ったので、私は撮影所に足を運んでいた。河島さんの撮影の日らしい。
 カメラも持参して、受付でIDを受け取る際、受付嬢がはっと目を見張って私を見た。

「あれ、葉山さん?」
「はい」

 何度かここには来ているので、私はその受付嬢の顔を覚えていたけど、彼女は私を見て驚いたらしい。

「髪、ウィッグですか?」
「いえ、これが地毛なんです」
「そうなんですか。すみません、ちょっと驚いたもので」

 無理もない。今までは肩までの茶髪だったのに、いきなりブロンドのロングヘアになれば、誰でも驚くだろう。
 私はにこりと微笑んで、IDを受け取った。


「カノンちゃん?!」

 撮影所に入った途端、コータさんが大きな声を上げた。

「こんにちは」
「やっだぁあぁああっ!ウィッグの下は、ミウ譲りのブロンドだったのね!こうしてみると本当にそっくり!」

 今まではそうでもなかったのに、今は母に似てると言われると妙に照れてしまう。嬉しいと思える。

「コータさんは、私がウィッグをつけてるってわかってたんですね」
「当たり前じゃない!でも、本当に素敵な髪よ。ウェーブも自然なの?」
「はい。お母さんはストレートだけど、私は昔からこんなです」

 私は撮影所を見回してみる。リキはまだ来ていないようだった。