「俺は、ヴァンパイアで、今までわりと適当に生きてきた。けど、カノンに会って、素直なこいつに触れて、一緒にいたいって思った。こんなのは初めてで、戸惑ったけど、それでもカノンのことが気になって仕方ないんだ」
まっすぐにそう告げるリキ。母はニコニコ笑いながら聞いているが、目元は少しも笑っていなかった。
「リキは」
そっと、母が口を開いた。
「もしもカノンが貴方を吸血鬼だからという理由で拒絶していたら、どうするつもりだった?」
リキはすぐに答える。
「身を引くつもりだった。最初は、俺の正体を言わない気でいたんだ。それでもばれたら、カノンに任せるつもりだった」
「そうやって、一人で傷つくつもりだったの?」
「・・・ミウも知ってるだろう?普通の人間は、俺達を受け入れない」
リキの言葉に、母はふっと笑って、父の手を取った。
「そうね。貴方の言うとおりだわ。私達を受け入れてくれる人間に出会うのは、奇跡のような確率よ」
「だから、今日はお礼が言いたくて来た」
リキは、おもむろに父を向かって、
「ミウを受け入れてくれて、ありがとう」
頭を下げた。

