「そうか。それで、どうしてカノンは君に抱きあげられているのかな?」
「ちょっ、もう大丈夫だから!おろして!」
淡々と尋ねる父も父だけど、ここでリキのことだから、キスしてたら腰が砕けたので運んでいましたとか言われたら目も当てられない。
リキはゆっくりと私をおろした。
「林の中でカノンが躓いたので、念のために」
私をおろしながら、そんな嘘をさらりと言うリキ。
「ふむ、そうか。中に入らないのかい?」
「お邪魔します」
父は何かに気づいているに違いない。いつものように微笑んでいたけど、絶対にあれは何かを含んでいる顔だ。
「あ、リキ、どうぞ」
「おう、ありがと」
先に家に入った父に続いて、私は扉を開けてリキを待った。リキは面白そうに観察しながら中に入った。
「ただいま」
「おかえりなさーい」
中で母が答える。父に続いて私達はリビングに入った。
「ミウ、お客さんだよ。カノンのお友達」
「あら」
ほら、絶対父は何かを含んでいる。にやつきながら、お友達という単語を口にした。母は、きょとんと私達を見て、そしてにっこり笑った。

