「し、信じられない!」
「信じられないのはこっちだ。潔癖も大概にしろ」
にやっと笑ったリキは、あろうことか歩けない私を抱えあげた。
「っ!」
振り落とされないように、私はリキの首にしがみついた。
「暴れるなよ」
「ど、どこ行くの!」
「決まってんだろ。お前のご両親に挨拶だ」
「な、なんで?!」
「なんでじゃねぇよ。こんな良い娘を産んでくれてありがとうって、ミウに挨拶しなくちゃな」
笑っているリキに、私はますます真っ赤になる。
「そんなに恥ずかしがんなよ。俺だって恥ずかしいんだから」
「全然そんなふうには見えない!」
「なんだよ、信じられない?」
口元に笑みを浮かべて、私を見下ろすリキがあまりにも綺麗で、黙った私。その唇に軽く口づけをしたリキ。
「!!」
「暴れんな!」
笑いながら、リキが私の家に向かう。
「カノン?」
そのとき、驚いたような声がかかった。

