「カノン・・・俺と一緒にいて」
「リキこそ、私と一緒にいてよ」
しばらく私を抱きしめていたリキが、そっと私を放した。
「?」
リキはふっと不敵に笑って、私のあごを持ち上げた。
「なぁ、カノンのこと、食べても良い?」
「っ!」
私が何か言う暇も与えず、私の唇は、あっという間にリキに奪われていた。
頭が真っ白になった私が、これはキスをしているんだと認識した頃には、頭が爆発しそうに熱くなって、恥ずかしさでリキから離れようとするけれど、後頭部をしっかりと押さえられて、逃げられない。
「逃げんなよ」
唇を離したリキが、超至近距離で呟いて、再び唇をふさぐ。私はそんな目に毒な光景を見ていられなくて、ぎゅっと目を閉じた。
「・・・へたくそ」
ようやく解放されたときには、私は腰砕けの赤面状態で、思い切りリキを殴った。
「いってぇ!」
「馬鹿!」
私は真っ赤な顔を抑えてしゃがみこんだ。あまりの甘美な衝撃に、力が抜けてへなへなになってしまった私を、リキが呆れたように見つめて、
「お前な、キスだけでこんなんなってたら、これからどうやって俺と付き合ってくわけ?」
とか、とんでもないことを言ってのける。

