「んなの聞いたら、ますます離せなくなっちまっただろ。どうしてくれんだ」
「は、離さなくて良いよ・・・」
真っ赤になった顔を見られないように、リキの胸にうずめた。心臓が暴れているのは、リキにも伝わっているだろう。
「俺な、カノンの目が好きだ」
「え?」
リキが私の耳元で、そっと囁く。
「カノンが俺のこと見るとき、すっげぇ力こもってて、只者じゃないって思ってた。こんな力のある女、初めてだって」
「・・・・・・」
リキの持つ力に負けないように、いつも見返していた私。リキはそれを感じ取っていた。
「俺、人間じゃないから・・・正直、どうすればいいかわからなかった」
「リキ?」
私はリキを見上げた。けど、死角になってしまい、リキの顔が見れない。
「カノンと一緒にいたいって思っても、いつか俺のことがばれたら・・・カノンが俺から離れていくって思った」
「リキ・・・」
同じような理由で、傷ついていた母。
「まさか、俺のことをありのまま受け入れるって言ってくれるなんて・・・思ってなかった」
リキの声が、身体が、震えているのは、もしかしたら泣いているのかもしれないと思った。
その顔を見られたくないから、私をこんなにも力強く抱きしめているのかもしれない。

