ヴァムピーラ


 感激に何も言えない私に、リキは言葉を続ける。

「カノンが潔癖だってわかってる。だから、女達全部切った」

 それは、リキにとって命に関わることなのに・・・。

「カノンのことが気になって仕方ない。目の前にいてくんねぇと、ずっと考えちまう」

 こんなに冷たい見た目と身体をしているのに、どうしてこんなにも暖かい言葉を紡げるんだろう。どうして、こんなに私の心を熱くさせるんだろう。

「だからカノン、俺のそばにいてくんね?」

 リキは、本当にずるい。

「ずるい・・・」
「ん?」

 私は、負けじとリキを見つめ返した。リキはそれを見て、目を細めた。

「リキは、ずるいよ。私だって、リキに伝えたいことがあったのに」
「俺に伝えたいこと?」

 私は頷いて、

「気になって仕方ないのは、私も同じ」

 そう言った私を、リキは驚いたように見た。