「リキは、私が普通の・・・ただの人間だと思ってると思う」
リキの切なげな表情が頭に浮かんだ。苦しそうに、私を見た、シルバーブルーの瞳。
「リキ、辛そうだったよ。私のせいで、血を吸うのもやめたって・・・」
「そう・・・」
母は顔を歪めた。
「ねえ、お母さん」
「何?」
「ヴァンパイアって、何が人間と違うの?血を吸うところ?」
私が人と違うところといえば、人には見えない光が見えたりすることだ。
「そうね、言葉で説明するのは難しいけど、血を吸わなくちゃ生きていけないの」
「でも、お母さんはご飯を食べてるよね?」
食事を取ってるのに、それは栄養にはならないのだろうか。
母は困ったように、
「私達にとっての血は、人間でいう水みたいなものだから。食べ物は私達の力にはなってくれるけど、生きるためのエナジーにはなってくれないの」
そう教えてくれた。
「私にも見える、あの光は何?」
「あれは、精霊よ」
「えっ」
私は思わず声を上げた。いつも私の世界に満ちている光達。あれが、ファンタジーの中でよく聞く精霊だったとは。

