私は母を見て、微笑んだ。
「カノン、その表情、爽幻そっくり」
「え?」
母は穏やかに笑いながら、私の髪の毛をなでた。
「カノンが初めて興味を持った人が、私と同じヴァンパイアだったなんて。これって、なにかの運命なのかしら」
「そう、なのかな?」
「最初はリキのことが気になってるって知ったとき、焦ったのよ。カノンが本当のことを知ってしまうんじゃないかって。でも、カノンは私が思っていたより、ずっと強かった」
「当たり前じゃない。お母さんの娘だもん」
「ふふ、それだけかしら?」
「え?」
私の言葉に、母は何かを含むような言い方をした。首を傾げる私を見て、母は目を細め、
「カノン、恋は人を強くするのよ」
そう言った。私は焦って、
「こ、恋とかそういうんじゃないよ!」
「否定しなくても良いのに。カノンの顔、私に恋してた爽幻にそっくりなんだもの」
「・・・っ」
真っ赤になった私は、反論が思い浮かばない。
リキのことが気になって仕方がなくて、いつもリキのことばかり考えている私は、母が言うようにリキに恋焦がれているのかもしれない。
「カノン、リキは貴女のことをどう思ってるの?私の娘だと知ってるの?」
私は首を横に振った。

