ヴァムピーラ


「誰も、君には傷ついて欲しくない。だから、もしも君がこのことを忘れたいのなら、レアに記憶を消してもらいなさい」

 記憶を、消す?

「できるだろう、レア?」
「ヴァムピーラには、ヴァンパイアの力に対する耐性があるらしいけど、多分カノンちゃんが抵抗しない限り大丈夫よ」

 どういうこと?
 私が今聞いたことを、忘れるということ?

「どうする、カノンちゃん。君は、忘れたいかい?」

 忘れたら、楽なのかもしれない。
 今までどおり生きていけるのかもしれない。

 だけど、

「私、受け入れられますから」

 私は、母の存在を否定したくない。
 自分自身の存在を、否定なんかしたくない。
 今、私が記憶を消してもらうという選択をした瞬間、私は自分自身を否定してしまうような気がしていた。

「そうか」

 私の答えに、河島さんとレアさんは微笑んだ。