ヴァムピーラ


「もしかして、体調悪いんですか?」

 私の言葉に、コータさんは首をかしげた。

「うーん、どうかしらね。リキちゃんのプライベートはよく知らないから。レアなら何か知ってるんじゃないかしら?」
「レアさん?」
「ええ、さっき控え室の方にいたわよ」
「ありがとうございます」

 私はお礼を言って、控え室に向かった。
 と、部屋に近づいた私は中から争うような声が聞こえたので、歩む足を止めた。

「?」
「英輝さんは、私を受け入れてはくれないわけ?」

 聞こえてきた言葉に、しまったと思った。
 中で争っているのは、レアさんと河島さんのようだ。
 聞いてはまずいと思って、すぐにその場を立ち去ろうとした私を引き止めたのは、レアさんの言葉だった。

「英輝が私を好きと言ってくれないのは、ミウのせいなの?」

 突然出てきた母の名前に、私は足を止めた。
 苛立ったようなレアさんの言葉に、一緒にいるはずの河島さんは何も言わない。

「それとも、怖いの?私が」
「そんなことはない」

 怖い?
 私は不思議に思って、悪いとは思いながらもその場を去れずにいた。レアさんの言葉に、河島さんが答えて、そこに彼が一緒にいることを確認する。