「お、お父さんは?」
「爽幻なら、アトリエよ。もう、カノンってば隠さなくても良いのに。撮影所にいた人なの?」
「お母さんっ」
興味津々な母に、たじたじになる私。母は、ふふっと笑って、
「好きな人ができることは悪いことじゃないわよ」
「・・・好きな人ってわけじゃ、ないんだけど」
「あら?そうなの?でも、最近のカノンってば、恋煩いっていうのがぴったりなんだもの」
私はますます顔を赤くした。
「でも、恋の話なんてしたことがないものね」
「え、うん。そうだね」
母は、にこっと笑って、
「時効だから教えてあげるけど、爽幻と英輝は、昔、恋のライバルだったのよ」
「えっ」
初めて聞く事実に、私は声を上げた。私の反応に気をよくした母は、当時のことを教えてくれた。
「当時は英輝も駆け出しのカメラマンでね。でも才能を認められて、撮影を任されることが増えてきていたの。そんなとき私と英輝は出会ったの」
「それじゃあ、河島さんと最初に会ったの?」
「そうよ。爽幻は、英輝に誘われて行った絵画展で出会ったの」
初めて聞く話に、私は引き込まれていた。

