「リキ」
「なんだよ」
建物を出たところでリキに追いついた。私が声をかけると、リキは不機嫌そうな声を出した。
「・・・気分悪いの?」
「結局俺のこと気にしてるんじゃねぇの?」
にやけながら減らず口を叩くリキだけど、やっぱり顔色が悪かった。
私は有無を言わさずリキの手をとって、近くのベンチに座らせた。
「・・・んだよ、触んなって言ってたくせに、自分から触るのは良いわけ?」
「体調悪いときくらい黙りなよ」
口数の減らないリキに、私は顔をしかめた。
この人は、本当にいろんな顔を見せる。
だけど、やっぱり、あの夜見せた真剣な顔が一番リキに似合う気がした。
「リキは、夜が似合うよね」
「・・・何それ、誘ってんの?」
「違うよ、馬鹿。リキって、月みたいに輝いてるから」
私が小さい声でそう告げると、今までが嘘のようにリキは黙ってしまった。
ふとリキを見れば、無表情で私を見ている。

