ヴァムピーラ


「カノンちゃんの撮りたいものって、自然が見せる最高の一瞬、だったよね?」
「はい。でも・・・最近、それが見極められなくなった感じで」

 私が撮りたいのは、自然が見せる最高の一瞬。
 だけど、私はその瞬間が見えなくなってしまっていた。

「カノンちゃんは、それでも写真を撮りたいんだよね?」
「はい」

 写真を撮ることは、やめたくない。
 だけど、何を撮れば良いのかわからなくなってきている。

「私も若いときは、いろいろ悩んだよ」
「・・・本当に?」

 河島さんの言葉に、耳を疑った。
 カメラの前に立つ彼の、堂々たる姿。被写体に向かう自信満々な横顔に、私は感動を覚えたのだから。

「ああ。悩まない人間やつなんていないさ。自分の方向性はあってるかとか、このまま写真を撮り続けていけるかとか、いろんなことが重なって悩む」

 河島さんは優しく微笑んで、

「カノンちゃんは、撮ろう撮ろうと必死になりすぎてるんじゃないのかな?」
「そう・・・なのかな?」
「しばらく、何も考えないのも良いかもしれない」

 河島さんの言葉に、私は頷いた。

「さて、撮影の時間だ」
「あ、はい」

 私は河島さんの後について撮影現場に入った。
 以前と同じようにコータさんのところに行くと、レアさんと他の初めて会うモデルさん達がいた。