「・・・普通、か・・・」
それでも、全く同じものなんてないといったリキの言葉は、嬉しかった。
そうやってまたリキのことを考えている自分に腹が立つ。
「あんな最低男・・・」
そんな最低男が、気になって仕方がない。
今まで私に見せた顔が、全部本当の顔じゃないような気がして。
時折見せる冷たく寂しそうな瞳が、気になった。
「あら、カノンちゃん!久しぶり!」
「こんにちは、コータさん」
河島さんから連絡があった私は、再び撮影現場に足を運んでいた。
そこで、メイクのコータさんに再会する。
「あの、河島さんに呼ばれてきたんです」
「あら?ひできちゃんならさっきまでここにいたんだけど・・・もしかしたら控え室の方にいるのかもしれないわ」
いかつい男の人が、くねくねと身体をくねらせながら女言葉で話すのはやはり奇妙な光景だ。
だけど、不思議と嫌な感じはしなかった。
「それじゃあ、私そっちの方に行ってみますね」
「わかったわ。控え室は左に曲がってすぐよ」
「ありがとうございます」
私は言われたとおりに歩いていって、人の声が聞こえたのでそちらを見た。

