「カノンには、俺はどう見えてんの?」
「・・・最低な男」
「へえ?」
普通、最低と面と向かって言われて微笑む男はいないと思う。
だけどリキは、私の言葉に面白そうに笑ってみせた。
「ほんと、カノンは面白いな」
「何が面白いの?」
「なんでも」
「おかしいのは、リキのほうでしょ」
そうやってにやけながら、でもその瞳は笑っていなくて――そんなちぐはぐなリキの姿が気になりながらも、私はその場を後にした。
小鳥のさえずりが聞こえてくる木立の中を、私はカメラを片手に歩いていた。
ここは家の近くの林で、子供の頃からよくここに来ていた。
大きな岩を椅子代わりにして、私は腰掛けて空を仰いだ。
カメラのファインダーを覗きながら、ふと思う。
人は、自分が見ている景色と人が見ている景色が同じだということを、どれだけ胸を張って言えるのだろう。

