「ごめんな。まさかあそこまで取り乱すとは思わなかったんだよ」
「・・・いえ、ごめんなさい」
私は落ち着かずにウィッグに触れて、直す。
「人は、人と違うと拒絶する」
「え」
私の言葉に、リキが驚いて私を見た。
私は、ここまで取り乱したからには理由を言わなければいけないと思った。
「私はハーフだから、人とは違う」
「・・・・・・」
「小さい頃、髪の毛のことで笑い者にされて、仲間はずれにされた。それから、私はウィッグをかぶって普通と同じことをアピールしたの」
なんともいえない静かな空気が二人を包む。
「それから、私はこれなしでは外に出られなくなった。馬鹿にする？」
人に気味の悪いものを見るような目で見られるのが辛くて。
リキは何も言わずに私の話を聞いていた。そして、ふっと笑った。その笑顔を見た瞬間、私の心臓が飛び跳ねる。
「お前な、俺の髪見ろよ。銀色だぞ？」
「え、あ・・・」
「俺はお前の髪を変だなんて思わねぇよ」
その自信満々の笑顔に、なぜか捕らえられた。視線が、私の心が。
「もっかい見せろよ、お前の綺麗な髪」
そうやって近づいてきた手を、私は振り払えなかった。
