永遠を繋いで

いつものように、あたしの右側には茜くんがいて。手は恋人繋ぎに繋がれたまま。
淡々と話していたと思えばたまに嬉しそうに笑ってみせたり、そのポーカーフェイスが崩れる瞬間が増えていっていることにあたしも嬉しくなる。

ただ何か話題を振られるも、ぽつりぽつりと返事をするだけで頭に入ってこない。先程からずっと真美の言葉が頭をぐるぐると回っていた。
もどかしい、この距離が。
考え出したら止まらなくなってしまって、ただひたすらにそればかりが思考を巡り支配する。

そんなあたしの様子に違和感を感じたらしい茜くんが訝し気に顔を覗き込んできた。

「何か変じゃないすか、先輩。どうしました?」

何となく、今なら言える気がする。
そう思えば行動にうつすまでは早かった。そんな根拠のない自信から、言葉はまとまっていないけれど気付けば口に出していた。

「あのね、あたし…このままは嫌なの」

「何がーー」

「茜くんと、今の関係は嫌なの」

言い切れば、立ち止まり絡んでいた指が離れていく。
道の真ん中で、あたしと向かうように正面に立った茜くんの顔を見上げれば、驚いた顔をしていた。

どういう意味なのか、とまさにそんな疑問符を浮かべた顔だ。いきなりこんなことを言われれば確かにそうなるかもしれない。

「どうしたんですか、急に」

「急じゃない、よ。ちょっと前から思ってた。この関係やめたいな、って」

今度はみるみるうちに綺麗な顔が歪んでいく。
あたしが茜くんに涙を見せていた時のような、苦しそうな表情。まるで心が痛いと訴えているような切ない表情を浮かべた。

あぁ、言葉が足りないから勘違いしたのかもしれない。
あたしが言っているのは、彼に対する拒絶ではない。むしろその逆だというのに。

「茜くん、聞いて。あたしね、」

また、切ない顔であたしを見つめた。