決心はついていた。逃げないと、向き合うと決めた。
なのに、あたし達はまだ『恋人』ではない。
なぜか、そう訊かれればどちらの口からも『好き』の一言がないことに問題があった。もう障害なんてないはずなのに、あたし達はまだ言えずにいる。
「何で?」
「何でって言われても…」
「もう二人共意味わかんなーい」
「じゃあやっぱ俺にしとく?」
「調子のんなよ涼太は。あんた真咲に何かしようとしたら今度はシメるから!」
「冗談だっつの!やめて、おま、顔こえーよ!」
さっと防御の体勢に入った涼太があたしを見て溜め息を吐く。
せっかく身引いたんだから早くくっつけよ、とぼそりと呟いた。鬼のような形相をしていた真美も、それを聞くとあっという間に涼太の味方へまわる。
四面楚歌、なんて他人事のように頭を過ぎる。
振った翌日から涼太の様子は驚くほどの早さで元通り、今ではこんな冗談までも言うようになった。真美とも以前のように、ごく自然に過ごすまでになっていた。
茜くんといる所は見ていないので何とも言えないが、元々仲が悪いわけではないのできっと心配はないだろう。
しかし今はそんなことを考えている場合ではなくて。
とりあえず、早く帰ってこい、二人共。勿論、心の中で言うだけである。
「無理強いはしたくないけどさー…なんかいい加減見ててもどかしい」
「だよなぁ」
珍しく意気投合する二人に今度はあたしが溜め息を吐く番だ。
周りが見ていてもどかしいと思うのだ。本人はもっともどかしいに決まっている。
あたしは、であるのだが。今まで自分勝手に中途半端にしてきたツケがまわってきたのだろうか。
今はもどかしくて仕方がなくて。けれど勢いで告白はしたくない。
言うならば真剣に伝えたいわけなのだけれど、ここ数日のあたしと彼の間にはそんな空気は一切ないのだ。それはそれは、その前のシリアスな空気が嘘のように。
ただ、この二人がそんな事情を知るはずもない。
なのに、あたし達はまだ『恋人』ではない。
なぜか、そう訊かれればどちらの口からも『好き』の一言がないことに問題があった。もう障害なんてないはずなのに、あたし達はまだ言えずにいる。
「何で?」
「何でって言われても…」
「もう二人共意味わかんなーい」
「じゃあやっぱ俺にしとく?」
「調子のんなよ涼太は。あんた真咲に何かしようとしたら今度はシメるから!」
「冗談だっつの!やめて、おま、顔こえーよ!」
さっと防御の体勢に入った涼太があたしを見て溜め息を吐く。
せっかく身引いたんだから早くくっつけよ、とぼそりと呟いた。鬼のような形相をしていた真美も、それを聞くとあっという間に涼太の味方へまわる。
四面楚歌、なんて他人事のように頭を過ぎる。
振った翌日から涼太の様子は驚くほどの早さで元通り、今ではこんな冗談までも言うようになった。真美とも以前のように、ごく自然に過ごすまでになっていた。
茜くんといる所は見ていないので何とも言えないが、元々仲が悪いわけではないのできっと心配はないだろう。
しかし今はそんなことを考えている場合ではなくて。
とりあえず、早く帰ってこい、二人共。勿論、心の中で言うだけである。
「無理強いはしたくないけどさー…なんかいい加減見ててもどかしい」
「だよなぁ」
珍しく意気投合する二人に今度はあたしが溜め息を吐く番だ。
周りが見ていてもどかしいと思うのだ。本人はもっともどかしいに決まっている。
あたしは、であるのだが。今まで自分勝手に中途半端にしてきたツケがまわってきたのだろうか。
今はもどかしくて仕方がなくて。けれど勢いで告白はしたくない。
言うならば真剣に伝えたいわけなのだけれど、ここ数日のあたしと彼の間にはそんな空気は一切ないのだ。それはそれは、その前のシリアスな空気が嘘のように。
ただ、この二人がそんな事情を知るはずもない。
