永遠を繋いで

あたしも真剣に答えなければいけない。
だって涼太はこんなにも真剣に想いをぶつけてくれたから。
こんなにも、あたしを好きになってくれたから。

だからもう、半端な答え方はしない。

「ありがと、そんな風に思ってくれて。…でもね、」

涼太を選ぶことはできない。そう言い切れば、一瞬苦しそうに歪んだ涼太の表情に言葉が止まりそうになる。
苦しい。だけど言ってしまわなければ涼太だって苦しいままだ。

「茜くんが好きだから」

彼となら運命を、ありもしない永遠を信じられる気がするの。
運命が信じられないと思っていたのに嘘みたいでしょう?
だって今度は、あたしの独りよがりなんかじゃないから。

ねぇ、だから涼太にもきっといつか、そんな人が現れるよ。けれどそれはあたしじゃない、別の女の子。
その人と幸せになってほしいの。この想いが全部届けば、なんて勝手、かな。

「…ありがと、やっとすっきりした」

ぼろぼろと涙が零れていく。それを拭うくらいなら許されるだろうかと、手を伸ばすと、困ったように笑って手をとられた。

「そんなんされたら甘えそうだから、でもこのくらいはいいよな」

親友だもん、そう言ってきつく手を握られる。所謂握手のような、そんな握り方。
抱き締めるのも抱き締められるのも自分の役割じゃない、と、強がりな泣き虫の、精一杯の笑顔。

「かっこわりーわ俺。涙止まんねえ」

「かっこ悪くないよ。あんた超かっこよかった」

「…まぁそんなの分かってるけどな!」

あたしが笑えば涼太も涙を零したまま笑った。
泣き顔を見ていたらあたしまで鼻の奥がつんとしたけれど、笑顔でいなければと、笑顔のままここを立ち去らなければと必死に堪える。

もう少しここに残ると笑いながら言ってあたしを見送った涼太はきっと声を殺して泣いているから。去り際に視界に入った肩が、震えていたから。
その強がりに気付かないふりをしたまま、また明日ね、なんて明るく言ってみせた。

振り返らない。ただ前を向いて、あたしは歩いた。