永遠を繋いで

飛び交う笑い声に走り回る子供。辺りにちらほらと見えるカップル。
教室で、と思っていたのにあたしの姿を見つけるやいなや二人分の荷物を抱えた涼太に腕を掴まれ、連れてこられた先は公園だった。

反論する暇も与えられず、ただひたすらに引っ張る彼についてきたせいで息が上がってしまった。一体何なんだと、口を開こうとすれば、飲み物買ってくる、とどこかに行ってしまい、一人ベンチに残され今に至る。

鞄がここにあるから戻っては来るのだろうが、時間を確認すれば結構な時間が経っている。大きな溜め息を吐くと、後ろから伸びてきた手にやっと戻ってきたかと振り返った。
渡されたジュースは素直に受け取ることにする。

隣りに座って喋り出す涼太に、切り出すタイミングを奪われる。
楽しそうに、嬉しそうに笑う顔を見ていたらまた決心が鈍りそうで。
これじゃいけない、また言えなくなる。

「涼太、」

少し大きめに出したつもりの声はさほど大きくもなくて、しかし涼太の言葉を止めるには十分だった。

「最近さ、女遊びがひどくなったって、蓮が心配してる」

「そっか」

「そういうのあんたの自由だし、一々干渉すんのもどうかと思うけどさ。止めた方がいいよ、周りに心配かけるほどのことは」

淡々と口にすれば、素直にうん、と一言返事が返ってきた。
やけに素直だと、思わず顔を見ると何か言いたげにこちらを見ていた。
薄い唇が、小さく言葉を吐き出していく。

「最近の奴はみんな、お前の代わりだった」

「代わりって、」

「話し方とか仕草とか、つけてる香水とか。どっかが真咲と似てる女ばっか。全員足したら偽物のお前になるような、そんな女ばっか選んでた」

「りょうーー」

「虚しくなったよ。最近は特に。あいつ等が俺に好きって言う度に、お前自体はどんどん遠くなる気がしてさ」

馬鹿みてぇ、そう自嘲気味に笑う。
弱々しい声が、あたしの名前を呼んだ。

「軽蔑した?真咲のこと好きって言っといて、女とっかえひっかえして。最低だと思った?」

息が詰まりそうだった。
今にも泣き出してしまいそうなその表情に、あたしは何て答えればいい。

本気で向き合える人に出会うために、以前彼はそう言った。だからあたしの代わりなんて、そんな風に思っていたことなんか気付くわけもなくて。

本当に馬鹿じゃないの。そんな傷付いたみたいな顔して。