昼休みの爆弾発言あってか、いつもなら一人で待つのだが今日は四人揃っている。真美においては開口一番におめでとうと良かったね、と目を輝かせていた。
気付いていないと思っていたのはあたしだけで、自分から打ち明けてくれるのを待っていたのだとか。何はともあれ、良かった、と二人は口々に言った。
結果だけみればそうなのだろう、きっと喜ぶべきだ。好きだと気付いた相手からあんなことを言われれば両想いと思うのは当然で。行動を思い返してみても、きっとそれは自惚れなんかではないと、断言出来る自信がある。茜くんの性格を考えれば、逆に今まで自分へ向けられていた想いに気付かなかった自分の方が不思議でならない。
しかし腑に落ちない。すっきりしないのだ。
彼の想いは『本物』なのか。あたしの想いも『本物』なのか。もしかしたらこれもまた『偽物』なのではないか。
ぐるぐると頭の中を巡っては不安が押し寄せる。素直に喜べないのは、『赤い糸』の存在のせい。
何度も飲み込んだ『好き』だって、あたしは今もまだ告げる勇気はない。
進めないことよりも、戻れなくなった時の方があたしは怖いのだ。
「あたしは真咲が決めたことなら無理は言わないけど、」
「うん」
「でも、怖がってばっかりじゃきっと真咲が苦しいよ」
頭を撫でる手の優しさに、鼻の奥がつんとする。
分かっているんだ、頭の中では。このままでは何も変えることが出来ない。茜くんにだってたくさん迷惑をかけるだろう。
今はいいにしても、いつかは結論を出さなければいけない。
全部全部、分かっている。
「今はまだ、この関係に甘えてたい」
ぎゅっと握ったスカートに皺が寄る。
茜くんのことになると、どうしても感情を上手く隠せない。きっと顔だって歪められていて、平然とした表情なんて作れていない。
平気なフリは、得意なはずだった。
真咲、真美の優しさを含んだ宥めるような声が響く。
「あたしは偽物も本物もよく分かんないけど、」
「…」
「好きなことに変わりはないんだから、それでいいんじゃないかな」
あたしは何も言えなくて曖昧に笑うだけだった。
今の友達以上恋人未満のような関係でいたいと思う反面、この恋が本物である証明が欲しい。
矛盾がぐるぐると渦巻いて、自分でもよく分からなくなる。
けれど本物であればいいと、ただ願う気持ちは嘘ではないことは確かな事実だ。
気付いていないと思っていたのはあたしだけで、自分から打ち明けてくれるのを待っていたのだとか。何はともあれ、良かった、と二人は口々に言った。
結果だけみればそうなのだろう、きっと喜ぶべきだ。好きだと気付いた相手からあんなことを言われれば両想いと思うのは当然で。行動を思い返してみても、きっとそれは自惚れなんかではないと、断言出来る自信がある。茜くんの性格を考えれば、逆に今まで自分へ向けられていた想いに気付かなかった自分の方が不思議でならない。
しかし腑に落ちない。すっきりしないのだ。
彼の想いは『本物』なのか。あたしの想いも『本物』なのか。もしかしたらこれもまた『偽物』なのではないか。
ぐるぐると頭の中を巡っては不安が押し寄せる。素直に喜べないのは、『赤い糸』の存在のせい。
何度も飲み込んだ『好き』だって、あたしは今もまだ告げる勇気はない。
進めないことよりも、戻れなくなった時の方があたしは怖いのだ。
「あたしは真咲が決めたことなら無理は言わないけど、」
「うん」
「でも、怖がってばっかりじゃきっと真咲が苦しいよ」
頭を撫でる手の優しさに、鼻の奥がつんとする。
分かっているんだ、頭の中では。このままでは何も変えることが出来ない。茜くんにだってたくさん迷惑をかけるだろう。
今はいいにしても、いつかは結論を出さなければいけない。
全部全部、分かっている。
「今はまだ、この関係に甘えてたい」
ぎゅっと握ったスカートに皺が寄る。
茜くんのことになると、どうしても感情を上手く隠せない。きっと顔だって歪められていて、平然とした表情なんて作れていない。
平気なフリは、得意なはずだった。
真咲、真美の優しさを含んだ宥めるような声が響く。
「あたしは偽物も本物もよく分かんないけど、」
「…」
「好きなことに変わりはないんだから、それでいいんじゃないかな」
あたしは何も言えなくて曖昧に笑うだけだった。
今の友達以上恋人未満のような関係でいたいと思う反面、この恋が本物である証明が欲しい。
矛盾がぐるぐると渦巻いて、自分でもよく分からなくなる。
けれど本物であればいいと、ただ願う気持ちは嘘ではないことは確かな事実だ。
