「特例…?」


「いいんですか?話してて。
あたしは貴方の敵でも味方でもないんですよ」



そう言われ夜龍が攻めこんで来ていたのだと思い出す。



女は、怪しい笑みを浮かべている。




何考えてんだ…?



「お前、名前は」


「名乗るほどの者じゃないですよ。
水野松の水本 朔眞さん」


「いいから名前は」


「フッ じゃあ…最澄とでも言っておきましょうか」


「最澄…?」



何故ここで歴史上の人物が出てくるのか、と不思議に思う。


いくら馬鹿な俺でも、最澄が歴史上の人物だと言うことぐらい分かる。



「意味、分かりませんよね。
いずれ分かります」


「ヒントは」



どうしても気になる俺は、最澄と名乗る女にヒントを求める。



「そうですねー。
最澄と一緒に教科書に載ってる人、誰でしたっけ」



………知らねぇよ。


教科書なんてそんなに読んでねぇよ。