そんな海李とは反対に、勝紀はすぐどこかに行こうとする。


悔しいんだと思う。



俺は戦いを見るときもあるけど、見ないときもある。



もうすぐ乱闘も終わる、という頃、俺はふと上を見た。



するとそこにはさっき話していた女がいた。




「あ」


俺は思わずそう呟いた。


「どうした?」


そんな俺に、海李が反応し俺の視線をたどって上を見た。


勝紀もそれにつられる。



「アイツ…KILLか?」


勝紀は俺にそう問い、海李は黙ってその女を見てる。



「いや…特例、らしい。
最澄とか名乗ってた」


「最澄?なんだそりゃ!」



俺の言葉に、勝紀は笑い飛ばしたが、海李は大きく反応した。



「海李…意味、分かるのか?」


「いや…分かんねぇ。
乱闘終わったみたいだし、俺適当にどっか歩いとくわ」



海李はそう言い去って行った。



―――――――――――


「最澄…空海、か。
懐かしいな」



誰のか分からない呟きが、校舎に響いた。





―朔眞side end―