イツワリ




役員「金城留美さんですね?」



「はい。」



役員「着替えは1人でも大丈夫ですか?」



「…多分大丈夫だと思います。」



役員「そうですか。
では、オーディション頑張って下さい。」



そう言って衣装を渡された。
衣装は袋の中に入っていてどんななのかわからない。
全員に配り終えた後役員の人は控え室から出ていった。



その瞬間全員が袋を開けはじめた。
もちろん私も。
袋から出すと真っ白のシンプルなワンピースが出てきた。



周りはみんな"え…?"って顔をしていた。
でも私はなんとなくなぜ真っ白なのかがわかった。
おそらくどれだけ個性を出せるかをみるためだろう。
出された服を着るだけのモデルなんてたかがしれてる、むしろ誰だって出来る事だ。
だからあえて何も着飾っていない真っ白のワンピースにしたんだと思う。



みんな着替え始めていたので私も着替え始めた。
……けどワンピースなので1人で着れそうに無かった。
体を安定させるように立ち、着替えるなんて無理っぽい…。



どうしようかと悩んでいるとまわりはクスクスと笑ってきた。



―あの子1人で着れもしないのにどうしてきたのかしらね?―



―なんか見てて可哀相になってきちゃったわ―



悔しくて悔しくて下を向き、唇をかみ締めていた。
するとそんな私の前に1人の女の人が立った。




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