たとえ叶わなくても…



―キーンコーンカーンコーン…


「あ…、チャイム鳴っちゃった。急いで掃除しよ!!」

あたしが掃除を始めようとしたとき、

「ああ~…もういいよ!!」
と先生が言った。


「え?まだ何もやってないし。」


「…実は掃除なんて頼まれてなくて…。」

先生は自分の耳たぶをいじりながら話している。

「はい!?」

じゃあ何であたしはここに連れてこられたの!?

「あ~!!まじでごめんな。俺、ちゃんとお前と話してみたかったんだ。今日は梨華のこと少しは知れたからよかった。」


「はぁ…。」

「これからはたまに話してくれよ?」


先生はポンポンとあたしの頭を叩き

「じゃあな。」


と手を挙げて去っていった。